60代からの骨粗しょう症予防|骨密度を守る食事と運動の新常識

60代の健康習慣

目次

  1. 骨粗しょう症とは
  2. なぜ60代で骨密度が急に下がるのか
  3. 骨を守る食事の基本
  4. 自宅でできる「骨を強くする」運動
  5. こんな症状があれば受診を
  6. 予防のポイントまとめ

「最近、背中が丸くなってきたかも」「身長が縮んだ気がする」――そんな変化に心当たりはありませんか? 実はそれ、骨粗しょう症のサインかもしれません。

骨粗しょう症は「沈黙の病気」とも呼ばれ、自覚症状がほとんどないまま骨がもろくなっていきます。60代は男女問わず骨密度が大きく変化する時期。今日から始められる食事と運動の工夫で、骨折リスクをぐっと下げることができます。

骨粗しょう症とは

骨粗しょう症とは、骨の中がスカスカになり、わずかな衝撃でも骨折しやすくなる状態のことです。日本では推定約1,300万人が該当するとされ、特に閉経後の女性に多いことが知られていますが、男性も70代以降に急増します。

骨は毎日少しずつ壊され(骨吸収)、新しく作り直されています(骨形成)。若いころはこのバランスが保たれていますが、加齢やホルモンの変化で「壊す速度」が「作る速度」を上回るようになると、骨密度が低下していきます。

なぜ60代で骨密度が急に下がるのか

60代で骨密度が急激に低下する主な理由は3つあります。

まずホルモンの変化です。女性は閉経によりエストロゲンが急減し、骨吸収が加速します。男性もテストステロンが徐々に減少することで骨の代謝バランスが崩れます。

次に腸でのカルシウム吸収率の低下です。加齢に伴い、ビタミンDの活性化が鈍くなるため、せっかくカルシウムを摂っても体に取り込みにくくなります。

そして運動量の減少です。骨は負荷がかかることで強くなる性質があります。デスクワーク中心の生活や運動不足が続くと、骨への刺激が足りず、骨密度が落ちやすくなります。

骨を守る食事の基本

骨の健康を保つには、カルシウムだけでなく複数の栄養素をバランスよく摂ることが大切です。

カルシウムは1日700〜800mgが目標です。牛乳コップ1杯(約200ml)で約220mg、小松菜1束で約170mg、木綿豆腐1/2丁で約180mgが摂れます。毎食少しずつ意識するだけで十分到達できる量です。

ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける”相棒”のような栄養素です。鮭、サンマ、しいたけ(日光に当てたもの)に豊富に含まれます。さらに、1日15〜20分ほどの日光浴でも体内で合成されます。冬場や外出が少ない方は食事からの摂取を意識しましょう。

ビタミンKは骨にカルシウムを定着させる役割を担います。納豆、ブロッコリー、ほうれん草などの緑黄色野菜に多く含まれています。納豆1パックで1日の必要量をほぼカバーできるのは嬉しいポイントです。

逆に注意したいのは塩分とカフェインの摂りすぎです。塩分はカルシウムの尿中排泄を増やし、カフェインは腸でのカルシウム吸収を妨げることがあります。味噌汁の塩分を控えめにしたり、コーヒーは1日2〜3杯程度にとどめるとよいでしょう。

自宅でできる「骨を強くする」運動

骨を強くするには重力に逆らう運動(荷重運動)が効果的です。水泳やサイクリングよりも、足で地面を踏みしめる動きのほうが骨に刺激が伝わりやすいのです。

ウォーキングは最も手軽な方法です。1日30分、週3〜5日を目安に、ややペースを上げて歩くのが理想です。歩幅を少し広めにし、かかとからしっかり着地することを意識してみてください。

かかと落とし運動もおすすめです。つま先立ちになり、ストンとかかとを床に落とす動作を20回×2セット。この振動が骨に伝わり、骨形成を促すことが研究で示されています。テレビを見ながらでもできるので、習慣にしやすい運動です。

スクワットは骨と筋肉の両方を鍛えられる一石二鳥のエクササイズです。椅子の前に立ち、ゆっくり腰を下ろして座る直前で立ち上がる動作を10回×2セット。膝が痛い方は浅めでかまいません。

こんな症状があれば受診を

以下のようなサインがある方は、一度整形外科で骨密度検査を受けることをおすすめします。

身長が若いころより2cm以上縮んだ、背中や腰が曲がってきた、ちょっとした転倒で骨折した経験がある、家族に骨粗しょう症の方がいる――いずれか一つでも当てはまれば、早めの検査が安心です。

骨密度検査はDEXA法(デキサ法)と呼ばれるX線を使った検査が標準的で、痛みもなく数分で終わります。健康診断ではなかなか項目に入らないため、自分から申し出ることが大切です。

予防のポイントまとめ

60代からの骨粗しょう症予防は「食事・運動・日光浴」の3本柱がカギです。カルシウム+ビタミンD+ビタミンKを意識した食事、かかと落としやウォーキングなどの荷重運動、そして1日15分の日光浴。どれも特別な道具はいりません。

骨は何歳からでも強くできます。「もう遅い」と思わず、今日の食事と散歩から始めてみませんか。


よくある質問

Q1. 骨密度検査はどのくらいの頻度で受ければいいですか?

回答: 60代以降は、まず一度ベースラインの検査を受け、その後は1〜2年ごとの定期チェックがすすめられています。骨粗しょう症と診断された場合や治療中の方は、担当医の指示に従いましょう。

Q2. サプリメントでカルシウムを摂ってもいいですか?

回答: 食事だけで必要量を満たせない場合は、サプリメントも選択肢の一つです。ただし、一度に500mg以上を摂ると吸収効率が下がるため、食事と組み合わせて小分けに摂るのがコツです。腎臓に持病がある方は、事前に医師に相談してください。

Q3. 男性でも骨粗しょう症になりますか?

回答: はい、なります。日本の骨粗しょう症患者の約3割は男性です。特に70代以降は急増します。喫煙、過度な飲酒、やせ型の方はリスクが高いため、60代のうちから予防を意識しましょう。

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監修:Dr.T 参考文献:

  1. 日本骨粗鬆症学会「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2015年版」
  2. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
  3. Kanis JA et al. “Assessment of fracture risk and its application to screening for postmenopausal osteoporosis.” Osteoporos Int. 1994

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