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目次
- ロコモティブシンドロームとは
- 80代でロコモが増える理由
- 自宅でできるロコモ予防エクササイズ5選
- エクササイズを安全に行うためのルール
- 骨と筋肉を守る食事のポイント
- こんな症状はロコモのサイン
- まとめ
1. ロコモティブシンドロームとは
「ロコモティブシンドローム」(通称ロコモ)は、骨・関節・筋肉などの運動器の衰えにより、立つ・歩く・座るといった日常の動作がしづらくなった状態のことです。日本整形外科学会が提唱した概念で、要介護になるリスクが高い状態を指します。
ロコモの3大原因は、骨粗しょう症(骨がもろくなる)、変形性関節症(関節の軟骨がすり減る)、サルコペニア(筋肉が痩せる)です。いずれも加齢とともに進行しますが、適切な運動と栄養で予防・改善が可能です。
2. 80代でロコモが増える理由
80代になると、複数の要因が重なってロコモのリスクが一気に高まります。
筋肉量の減少が加速する
筋肉は40代から年に約1%ずつ減っていきますが、70代以降はそのスピードが加速します。特に太ももやお尻の筋肉が衰えると、立ち上がりや歩行に直接影響します。
骨密度がさらに低下する
女性は閉経後に骨密度が急速に下がりますが、男性も80代になると骨折リスクが大きく上がります。
活動量の低下が悪循環を生む
膝や腰が痛いから動かない→筋力がさらに低下する→もっと動けなくなる、という悪循環に陥りやすくなります。
この悪循環を断ち切るのが、「無理のない範囲で毎日少しだけ動く」習慣です。
3. 自宅でできるロコモ予防エクササイズ5選
すべて椅子を使って行います。1つ2〜3分、合計10〜15分で完了します。
① スクワットもどき(椅子スクワット)
椅子に座った状態から、ゆっくり立ち上がります。手は膝の上に置いてOK。立ち上がったら3秒キープし、ゆっくり座ります。これを5〜10回繰り返します。太ももとお尻の筋力を鍛える、最も基本的なエクササイズです。
② もも上げ運動
椅子に座り、片方の膝をゆっくり胸に近づけるように持ち上げます。5秒キープしたら下ろし、反対の足も同様に。左右交互に5回ずつ行います。腸腰筋(ちょうようきん)という、歩行に重要な筋肉を鍛えます。
③ かかと上げ(カーフレイズ)
椅子の背もたれを両手で持ち、つま先立ちになります。3秒キープしたらゆっくり下ろします。10回繰り返します。ふくらはぎの筋肉を鍛え、歩行時のバランスを安定させます。
④ 横方向の足上げ
椅子の背もたれを持ち、片足をゆっくり横に上げます。腰の高さまで上げる必要はなく、15〜20cmでも十分です。3秒キープして下ろし、左右5回ずつ行います。お尻の横の筋肉(中殿筋)を鍛え、横方向のふらつきを防ぎます。
⑤ 片足立ち(つかまり立ち)
椅子の背もたれや壁に手をつき、片足を床から少し浮かせます。10秒キープしたら足を替えます。左右3回ずつ。バランス能力を直接鍛える、転倒予防の決定版です。
4. エクササイズを安全に行うためのルール
ルール1:必ずつかまれるものの近くで行う
椅子の背もたれ、テーブル、壁など、すぐにつかまれるものの近くで行いましょう。バランスを崩したときの転倒を防ぎます。
ルール2:「痛い」と「きつい」を区別する
「少しきついけど痛くない」はOK。「ズキッと痛い」はNG。関節に痛みが出たら、その動きはスキップして別のエクササイズに切り替えてください。
ルール3:呼吸を止めない
力を入れるときに息を止めがちですが、血圧の急上昇を招きます。「力を入れるときに息を吐く」と覚えておきましょう。
ルール4:体調が悪いときは休む
風邪気味、めまいがする、いつもより疲れている——そんな日は遠慮なくお休みしてください。休むのも大事なトレーニングの一部です。
5. 骨と筋肉を守る食事のポイント
運動と同じくらい大切なのが栄養です。骨と筋肉を守るために意識したい栄養素を3つご紹介します。
タンパク質:筋肉の材料。卵、魚、豆腐、鶏肉などを毎食少しずつ。体重1kgあたり1.0〜1.2gが目安です。
カルシウム:骨の材料。牛乳、小魚、小松菜、豆腐など。1日600〜800mgを目標に。
ビタミンD:カルシウムの吸収を助ける。鮭、きのこ類に多く含まれます。また、日光を浴びることで体内でも作られるため、日中の散歩が一石二鳥になります。
6. こんな症状はロコモのサイン
次の項目に1つでも当てはまったら、ロコモが始まっている可能性があります。
- 片足で靴下がはけない
- 家の中でつまずいたり滑ったりする
- 階段を上がるのに手すりが必要
- 横断歩道を青信号のうちに渡りきれない
- 15分続けて歩けない
- 2kg程度の買い物袋を持ち帰るのがつらい
当てはまる項目があっても、今から運動を始めることで改善できるものが多くあります。まずは今日からエクササイズ①の「椅子スクワット」だけでも試してみてください。
まとめ
ロコモ予防は、80代からでも決して遅くありません。椅子を使ったエクササイズは安全で、1日10分あれば十分。「完璧にやること」より「毎日少しだけ動くこと」が何より大切です。
骨と筋肉は、使わなければ弱くなりますが、使えば応えてくれます。自分のペースで無理なく続けて、いつまでも自分の足で歩ける体を守りましょう。
よくある質問
Q1. 膝が痛くてスクワットができません。他の運動で代用できますか?
回答: はい、できます。膝に負担がかかるスクワットの代わりに、座ったままの「もも上げ運動」や「かかと上げ」を重点的に行ってください。また、膝に痛みがある場合は整形外科を受診して、適切な運動の指導を受けることをおすすめします。
Q2. ロコモ度テストというものがあると聞きました。自分でもできますか?
回答: 日本整形外科学会が公開している「ロコモ度テスト」は、「立ち上がりテスト」「2ステップテスト」「ロコモ25」の3つで構成されています。一部は自宅でもできますが、転倒のリスクがあるテストもあるため、できれば医療機関やリハビリ施設で専門家と一緒に行うのが安全です。
Q3. 運動は何歳から始めても効果がありますか?
回答: あります。90代の方でも、適切な運動を続けることで筋力が改善したという研究報告があります。「もう手遅れ」ということはありません。今日が、これからの人生で一番若い日です。
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監修:Dr.T


