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目次
- 骨粗鬆症の2つのタイプ
- 女性ホルモンと骨の深い関係
- 生活習慣に潜むリスク因子
- 意外と見落とされる「やせ型」のリスク
- 病気や薬が原因になることも
- セルフチェックリスト
- まとめ
- よくある質問
前回のシリーズ①では、骨粗鬆症が「静かに進む病気」であること、骨密度は30代でピークを迎えることをお伝えしました。今回は一歩踏み込んで、どんな人が骨粗鬆症になりやすいのかを解説します。
「自分は大丈夫」と思っている方ほど、ぜひチェックしてみてください。
1. 骨粗鬆症の2つのタイプ
骨粗鬆症には大きく分けて2つのタイプがあります。
原発性骨粗鬆症(げんぱつせい)は、加齢や閉経に伴って自然に起こるタイプです。骨粗鬆症全体の約9割を占めます。特に閉経後の女性に多く、「閉経後骨粗鬆症」とも呼ばれます。また、70代以降の男女に見られる「老人性骨粗鬆症」もこちらに含まれます。
続発性骨粗鬆症(ぞくはつせい)は、何かの病気や薬の影響で引き起こされるタイプです。全体の約1割ですが、原因を取り除けば改善できる可能性があるため、見逃さないことが大切です。
2. 女性ホルモンと骨の深い関係
女性に骨粗鬆症が多い最大の理由は、女性ホルモン(エストロゲン)にあります。
エストロゲンには「破骨細胞(骨を壊す細胞)」の働きを抑える役割があります。つまり、エストロゲンが十分にあるうちは、骨が壊されすぎるのを防いでくれているのです。
ところが、閉経を迎えるとエストロゲンが急激に減少します。するとブレーキが外れたように破骨細胞が活発になり、骨密度がどんどん下がっていきます。
閉経後の5〜10年間が最も骨密度が減りやすい時期と言われています。50代の女性は特にこの時期にあたるため、意識的に骨の健康をケアすることが重要です。
また、若い女性でも無月経や生理不順が続いている場合は、エストロゲンが十分に分泌されていない可能性があり、将来の骨粗鬆症リスクが高まります。
男性の場合は、テストステロン(男性ホルモン)が骨の維持に関わっています。加齢とともにテストステロンは緩やかに低下していくため、70代以降で骨粗鬆症が増えてきます。ただし、前立腺がんの治療でホルモン療法を受けている男性は、比較的若い年齢でも急速に骨密度が低下することがあるため、主治医と相談して骨の状態を定期的にチェックすることが大切です。
3. 生活習慣に潜むリスク因子
骨粗鬆症は、日常の生活習慣とも深い関わりがあります。以下のような習慣がある方は要注意です。
カルシウム不足の食生活:日本人のカルシウム摂取量は推奨量に達していない方が多いのが実情です。牛乳や乳製品、小魚、大豆製品をあまり食べない方は不足しがちです。
ビタミンD不足:ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける大切な栄養素です。日光を浴びることで皮膚で作られますが、日焼けを避ける生活やデスクワーク中心の方は不足しやすくなります。
運動不足:骨は適度な負荷がかかることで強くなる性質があります。デスクワーク中心で歩く機会が少ない方は、骨への刺激が不十分になりがちです。
喫煙:たばこは骨を作る骨芽細胞の働きを弱め、カルシウムの吸収も妨げます。喫煙者は非喫煙者と比べて骨折リスクが高いことがわかっています。
過度な飲酒:適量を超えるアルコール摂取は、カルシウムの排泄を増やし、ビタミンDの代謝にも悪影響を与えます。1日3合以上の飲酒は骨折リスクを明らかに上げるとされています。
過度なカフェイン摂取:カフェインにはカルシウムの排泄を促す作用があります。コーヒーや紅茶を大量に飲む方は、意識してカルシウムの摂取量を増やしましょう。
こうした生活習慣は一つひとつの影響は小さく見えますが、複数が重なると骨へのダメージは確実に蓄積していきます。日々の小さな選択が、10年後・20年後の骨の健康を左右するのです。

4. 意外と見落とされる「やせ型」のリスク
体型と骨粗鬆症にも関連があります。実はやせ型(BMI 18.5未満)の方は骨粗鬆症のリスクが高くなります。
理由は主に2つあります。
1つ目は、体重による骨への負荷が少ないこと。骨は体重を支えることで刺激を受け、強度を保っています。体重が軽いとその刺激が弱まり、骨密度が上がりにくくなります。
2つ目は、栄養不足の可能性。やせ型の方は食事量が少なく、カルシウムやたんぱく質、ビタミンDなどの栄養素が不足しがちです。
「太りたくない」というお気持ちは理解できますが、極端なダイエットは骨の大敵です。適正体重を維持することが、骨の健康を守ることにもつながります。
特に10代〜20代の女性が過度な食事制限をすると、骨密度のピーク値そのものが低くなってしまいます。骨密度のピークが低いまま年齢を重ねると、閉経後に骨粗鬆症の基準を下回るリスクが一気に高まります。若い頃の食生活が、将来の骨の運命を大きく左右するのです。
5. 病気や薬が原因になることも
続発性骨粗鬆症の代表的な原因をいくつかご紹介します。
ステロイド薬(副腎皮質ホルモン薬)の長期使用:関節リウマチやぜんそくなどの治療でステロイド薬を長期間使用していると、骨密度が低下しやすくなります。これは「ステロイド性骨粗鬆症」と呼ばれ、比較的若い年齢でも起こりえます。
甲状腺機能亢進症:甲状腺ホルモンが過剰に分泌されると、骨の代謝が亢進し、骨密度が低下します。
糖尿病:糖尿病の方は骨質(骨の質)が低下しやすく、骨密度の数値だけでは判断しにくい骨折リスクがあります。
慢性腎臓病:腎臓の機能が低下するとビタミンDの活性化がうまくいかず、カルシウムの吸収が悪くなります。
胃腸の手術後:胃の切除手術を受けた方は、カルシウムの吸収が低下するため骨粗鬆症のリスクが上がります。
こうした持病がある方は、主治医に骨粗鬆症のリスクについて相談してみることをおすすめします。
6. セルフチェックリスト
以下の項目に当てはまるものがないか、確認してみましょう。
- □ 50歳以上の女性、または70歳以上の男性である
- □ 閉経を迎えている(または早期閉経だった)
- □ 家族に骨粗鬆症や骨折歴がある人がいる
- □ やせ型(BMI 18.5未満)である
- □ カルシウムをあまり摂っていない
- □ 日光にほとんど当たらない生活をしている
- □ 運動をほとんどしない
- □ たばこを吸っている
- □ お酒を毎日多く飲む
- □ ステロイド薬を3ヶ月以上使用している
3つ以上当てはまる方は、一度骨密度検査を受けてみることをおすすめします。検査については次回のシリーズ③で詳しく解説します。
7. まとめ
骨粗鬆症の原因は、加齢や閉経によるホルモン変化だけではありません。食事・運動・喫煙・飲酒といった生活習慣や、病気・薬の影響も大きく関わっています。自分のリスク因子を知ることが、予防の第一歩です。
次回のシリーズ③では、「骨密度検査はどこで・どうやって受けるの?」という疑問にお答えします。
よくある質問
Q1. 遺伝は骨粗鬆症に関係ありますか?
回答: はい、関係があります。両親(特に母親)が骨粗鬆症や大腿骨骨折を経験している場合、そのお子さんも骨粗鬆症のリスクが高いことがわかっています。遺伝的な骨密度のピーク値や骨質に影響を受けるためです。ただし、遺伝があっても生活習慣で予防できる部分は大きいので、過度に心配する必要はありません。
Q2. コーヒーは骨に悪いのですか?
回答: 大量のカフェイン摂取はカルシウムの排泄をわずかに増やすとされていますが、1日2〜3杯程度のコーヒーであれば、骨粗鬆症のリスクを大きく上げることはないとされています。ただし、コーヒーに牛乳を加えたり、食事でカルシウムを十分に摂る工夫を併せるとより安心です。
Q3. 若い女性でも骨粗鬆症になることがありますか?
回答: まれですが、あります。無月経が長期間続いている方、摂食障害で極端に栄養が不足している方、ステロイド薬を使用している方などは、若くても骨密度が低下することがあります。生理不順や無月経がある場合は、婦人科の受診とあわせて骨密度の確認も検討してみてください。
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監修:Dr.T
参考文献:
- 日本骨粗鬆症学会「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版」
- 日本骨代謝学会「骨粗鬆症診療における薬物治療の手引き」
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」



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