この記事をスマホで読む
目次
- 体幹筋とは?体の「見えないコルセット」
- なぜ体幹筋を鍛えることが大切なのか
- 体幹を支える4つのインナーマッスル
- 自宅でできる体幹トレーニング4選
- トレーニングの注意点と受診の目安
- まとめ
「体幹を鍛えましょう」——テレビや雑誌でよく見かける言葉ですが、体幹筋がどこにあって、なぜ大切なのかをきちんと理解している方は意外と少ないのではないでしょうか。
体幹筋は、いわば体の中に備わった「天然のコルセット」です。ここがしっかり働くことで、腰痛の予防、姿勢の改善、日常動作の安定など、さまざまな恩恵を受けられます。しかも、特別な器具は不要。自宅で、今日からすぐに始められるトレーニングばかりです。
この記事では、整形外科医の視点から、体幹筋の仕組みとおすすめのトレーニング方法をやさしく解説します。
1. 体幹筋とは?体の「見えないコルセット」
体幹とは、頭と手足を除いた「胴体」のことです。その胴体の深いところにある筋肉群を、まとめて体幹筋(たいかんきん)と呼びます。
体幹筋には表層の筋肉(アウターマッスル)と深層の筋肉(インナーマッスル)がありますが、とくに大切なのがインナーユニットと呼ばれる4つの深層筋です。これらが協力して腹腔内の圧力(腹圧)を高め、背骨や骨盤を安定させています。
腹筋運動で鍛えられるのは主にアウターマッスル(腹直筋など)です。見た目の「割れた腹筋」ではなく、体の奥から支える力こそが、腰痛予防や姿勢改善のカギになります。
2. なぜ体幹筋を鍛えることが大切なのか
体幹筋が弱くなると、次のようなトラブルが起こりやすくなります。
- 腰痛が出やすくなる: 背骨を支える力が足りず、ちょっとした動作で腰に過度な負担がかかります。
- 姿勢が崩れる: 猫背や反り腰の原因になり、肩こりや首の痛みにもつながります。
- バランスが悪くなる: つまずきや転倒のリスクが高まり、とくに40代以降は注意が必要です。
- スポーツのパフォーマンスが落ちる: 手足に力を伝える「土台」が不安定になります。
30代を過ぎると、意識して動かさない筋肉は年に約1%ずつ減っていくといわれています。体幹筋も例外ではありません。だからこそ、日常的なトレーニング習慣が大切なのです。
3. 体幹を支える4つのインナーマッスル

体幹の安定に欠かせない「インナーユニット」は、以下の4つの筋肉で構成されています。
① 横隔膜(おうかくまく) ── インナーユニットの「天井」にあたる筋肉です。呼吸のたびに上下に動き、腹圧の調整に関わっています。深い呼吸ができている人は、横隔膜がしっかり働いている証拠です。
② 腹横筋(ふくおうきん) ── お腹をぐるりと囲むように走る筋肉で、インナーユニットの「壁」の役割を果たします。天然のコルセットとも呼ばれ、お腹をへこませるときに使われます。
③ 多裂筋(たれつきん) ── 背骨に沿って細かくつながっている深層の筋肉で、「柱」の役割です。一つひとつの背骨を正しい位置に保ち、脊柱全体を安定させます。
④ 骨盤底筋群(こつばんていきんぐん) ── 骨盤の底にハンモックのように張っている筋肉の集まりで、「床」の役割を担います。内臓を下から支えるだけでなく、排尿コントロールにも関わっています。
この4つが上・横・後ろ・下から腹腔を囲み、ひとつのユニットとして腹圧を高めることで、体幹が安定するのです。
4. 自宅でできる体幹トレーニング4選
以下のトレーニングは、器具不要で、運動初心者の方にも取り組みやすいものを厳選しました。どれも「正しいフォーム」が最も大切です。回数を増やすよりも、丁寧に行うことを意識してください。
エクササイズ① ドローイン ── すべての基本

鍛えられる筋肉: 腹横筋
やり方:
- 仰向けに寝て、両膝を立てます。
- 鼻からゆっくり息を吸い、お腹をふくらませます。
- 口から細く長く息を吐きながら、おへそを背骨に近づけるイメージでお腹をへこませます。
- へこませた状態で10秒キープ。
- これを5回くり返します。
ポイント: 肩や首に力を入れず、お腹だけに集中しましょう。慣れたら、座った姿勢や立った姿勢でも行えます。
エクササイズ② デッドバグ ── 腰にやさしい腹筋トレーニング

鍛えられる筋肉: 腹横筋、腹直筋
やり方:
- 仰向けに寝て、両手を天井に向けてまっすぐ伸ばします。
- 両膝を90度に曲げ、太ももが床と垂直になるよう持ち上げます。
- 右手を頭の上方向へ、同時に左足をまっすぐ前方へゆっくり伸ばします。
- 床すれすれまで下ろしたら、元に戻します。
- 反対側も同様に行い、左右交互に5回ずつ。
ポイント: 動作中、腰が床から浮かないよう意識してください。腰と床の隙間をなくすことが、正しいフォームの目安です。
エクササイズ③ バードドッグ ── 背中と体幹を同時に鍛える

鍛えられる筋肉: 多裂筋、腹横筋、大臀筋
やり方:
- 四つんばいになり、手は肩の真下、膝は股関節の真下に置きます。
- 右手をまっすぐ前に、同時に左足をまっすぐ後ろに伸ばします。
- 手から足まで一直線になるよう意識し、3秒キープ。
- ゆっくり元に戻し、反対側も行います。
- 左右交互に5回ずつ。
ポイント: 骨盤が左右に傾かないようにすることが大切です。鏡を見ながら行うと、フォームを確認しやすくなります。
エクササイズ④ 膝つきプランク ── 初心者向けの安全なプランク

鍛えられる筋肉: 腹横筋、腹直筋、脊柱起立筋
やり方:
- うつ伏せから、両前腕と両膝を床につけます。
- おへそを軽く引き込み、頭からお尻まで一直線になるよう体を持ち上げます。
- その姿勢で15〜30秒キープ。
- 2〜3セット行います。
ポイント: お尻が上がりすぎたり、腰が反ったりしないよう注意しましょう。慣れてきたら膝を浮かせた通常のプランクに挑戦してみてください。
5. トレーニングの注意点と受診の目安
体幹トレーニングは安全性の高い運動ですが、以下の点に注意しましょう。
- 痛みがあるときは中止する: 腰や背中に鋭い痛みが出たら、無理をせず中止してください。
- 息を止めない: 動作中も呼吸を続けることが大切です。息を止めると血圧が急上昇することがあります。
- 毎日少しずつが効果的: 1回に長時間やるより、毎日5〜10分を習慣にするほうが効果が出やすくなります。
こんなときは医療機関を受診しましょう: トレーニング後に腰痛が悪化する、足にしびれが出る、排尿に異常を感じるなどの症状があれば、自己判断せず整形外科を受診してください。
6. まとめ
体幹筋は、私たちの体を内側から支える「見えないコルセット」です。横隔膜・腹横筋・多裂筋・骨盤底筋群の4つが協力して、背骨と骨盤を安定させています。
今回ご紹介した4つのトレーニング──ドローイン、デッドバグ、バードドッグ、膝つきプランク──はどれも自宅で安全に行え、初心者の方でもすぐに始められます。大切なのは回数よりもフォーム。毎日5分の習慣が、半年後、1年後のあなたの体を大きく変えてくれるはずです。
よくある質問
Q1. 体幹トレーニングは毎日やっても大丈夫ですか?
回答: はい、今回ご紹介したトレーニングは低負荷なので、毎日行っても問題ありません。筋肉痛がひどい場合は1日休んでから再開しましょう。
Q2. 腰痛があっても体幹トレーニングはできますか?
回答: 軽い腰痛であれば、ドローインやデッドバグなど腰への負担が少ないメニューから始めてみてください。ただし、鋭い痛みやしびれがある場合は、まず整形外科を受診してからトレーニングを始めることをおすすめします。
Q3. 効果を実感できるまでどれくらいかかりますか?
回答: 個人差はありますが、毎日続ければ2〜4週間ほどで姿勢の変化や腰の安定感を感じる方が多いです。目に見える体型の変化には2〜3か月ほどかかることもあります。
Q4. 高齢の親にもすすめて大丈夫ですか?
回答: ドローインやデッドバグは負荷が低く、高齢の方にも取り組みやすい種目です。ただし、持病がある場合はかかりつけ医に相談してから始めるのが安心です。
監修:Dr.T(整形外科専門医)
参考文献:
- 鹿児島県国民健康保険団体連合会「体幹を安定させて美しい姿勢を獲得しましょう」
- ヨガジャーナルオンライン「横隔膜・腹横筋・多裂筋・骨盤底筋群をまとめて鍛える簡単万能エクサ」
- 腰痛メディア「腰痛予防におすすめの体幹トレーニング!プランクの効果的な方法」



コメント