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目次
- 肉離れの回復期間はどのくらい?
- 回復の3つのステージと過ごし方
- 太ももの肉離れ ― セルフケアのポイント
- ふくらはぎの肉離れ ― セルフケアのポイント
- その他の部位(内もも・背中など)のケア
- やってはいけないNG行動
- まとめ
- よくある質問
肉離れをしてしまったとき、多くの方が気になるのは「どのくらいで治るの?」「自分で何かできることはある?」ということではないでしょうか。この記事では、重症度や部位ごとの回復期間の目安と、自宅でできるセルフケアのポイントを整形外科医の視点からお伝えします。
1. 肉離れの回復期間はどのくらい?
肉離れの回復期間は、重症度によって大きく異なります。あくまで目安ですが、以下のように考えるとわかりやすいでしょう。
軽度(Ⅰ度):約1〜2週間
筋繊維の微細な損傷にとどまるケースです。痛みが引くのも早く、日常生活にはそれほど支障が出ません。
中等度(Ⅱ度):約3〜6週間
筋繊維が部分的に断裂した状態です。歩行に痛みを伴い、スポーツ復帰まで1〜2か月かかることもあります。
重度(Ⅲ度):約2〜6か月
筋繊維が広範囲に断裂しており、手術が必要になる場合もあります。医師のもとでリハビリテーションを進めていくことが重要です。
回復を早めようと焦って動いてしまうと、かえって損傷が悪化したり再発したりするリスクがあります。「痛みの程度」を目安に段階的に活動量を増やしていきましょう。
2. 回復の3つのステージと過ごし方
肉離れの回復は、大きく3つのステージに分けて考えると取り組みやすくなります。
ステージ1:急性期(受傷〜3日ごろ)
炎症がもっとも強い時期です。POLICE処置(保護・最適な負荷・冷却・圧迫・挙上)を続け、患部を安静にすることが最優先です。この時期に無理をすると、出血や腫れが広がり回復が大幅に遅れます。
ステージ2:回復期(4日〜数週間)
炎症が落ち着き、組織の修復が始まる時期です。アイシングから温熱療法へと切り替え、血流を促進します。痛みが許す範囲で軽いストレッチやウォーキングを少しずつ取り入れていきましょう。
ステージ3:復帰期(痛みがほぼなくなった時期)
日常動作で痛みがなくなったら、徐々に運動強度を上げていきます。いきなり全力で走るのではなく、ジョギング → 軽いダッシュ → 全力運動と段階を踏むことが再発予防の鍵です。

3. 太ももの肉離れ ― セルフケアのポイント
太ももの肉離れで多いのは、裏側のハムストリングスと、前側の大腿四頭筋(だいたいしとうきん)の損傷です。
急性期のケア
横になり、膝の下にクッションを置いて軽く曲げた状態で安静にします。太ももは筋肉が大きいぶん内出血も広がりやすいので、圧迫と冷却をしっかり行いましょう。

回復期のセルフケア
痛みが和らいできたら、椅子に座った状態で膝をゆっくり伸ばす運動から始めます。「痛気持ちいい」程度の軽いストレッチを1回20〜30秒、1日3セットを目安に行いましょう。決して痛みを我慢して強く伸ばさないでください。
復帰期の目安
歩行時に痛みがなくなり、軽いジョギングが問題なくできるようになったら、徐々にスポーツ動作を取り入れていきます。
4. ふくらはぎの肉離れ ― セルフケアのポイント
ふくらはぎの肉離れは腓腹筋(ひふくきん)に多く、「テニスレッグ」とも呼ばれます。30代〜50代のスポーツ愛好家に頻繁に見られるケガです。
急性期のケア
横になって足を高く上げ、ふくらはぎを心臓より上に保ちます。つま先を上に引く動作(足関節の背屈)は断裂部を引き伸ばしてしまうため避けましょう。

回復期のセルフケア
痛みが減ってきたら、壁に手をついた状態でかかとの上げ下ろし(カーフレイズ)をゆっくり行います。最初は両足で体重を支えながら、痛みのない範囲で始めましょう。慣れてきたら片足で少しずつ負荷を上げていきます。
復帰期の目安
つま先立ちで痛みが出なくなり、片足ジャンプが問題なくできれば、スポーツ復帰に近づいているサインです。
5. その他の部位(内もも・背中など)のケア
内もも(内転筋)の肉離れ
サッカーなどキックを多用するスポーツに多い損傷です。急性期は脚を閉じる動作を避け、回復期には壁にもたれて脚を軽く開くストレッチを取り入れましょう。
背中・腰の肉離れ
重いものを持ち上げたときや、急にひねったときに起こることがあります。急性期は横になって楽な姿勢で安静にし、膝の下にクッションを入れると腰への負担が軽減されます。
いずれの部位でも「痛みが自分のペースメーカー」です。痛みが増す動作は控え、痛みなくできることを少しずつ増やしていくのが基本方針になります。
6. やってはいけないNG行動
肉離れの回復を妨げてしまう、ありがちなNG行動をまとめました。
受傷直後にお風呂で温める
急性期に温めると血流が増えて内出血が悪化します。受傷後48時間はシャワーで軽く流す程度にとどめましょう。
痛みを我慢してストレッチを強引にする
断裂した筋繊維をさらに引き裂いてしまう恐れがあります。「痛気持ちいい」を超える痛みは危険信号です。
「もう大丈夫」と自己判断で早すぎるスポーツ復帰をする
痛みがなくなったように感じても、筋肉の修復は完了していないことがあります。段階的に負荷を上げ、少なくとも軽いジョギングが問題なくできるまではスポーツを控えましょう。
飲酒
アルコールは血管を拡張させるため、受傷後数日間は腫れと内出血を悪化させるリスクがあります。回復初期はお酒を控えるのが無難です。

7. まとめ
肉離れの回復には「焦らず、段階的に」が最も大切です。急性期はPOLICE処置でしっかり炎症を抑え、回復期には痛みの範囲内で少しずつ動かし、復帰期には段階的に運動強度を上げていきましょう。自分の体の声に耳を傾けながら、安全に回復を目指してくださいね。
よくある質問
Q1. 肉離れのとき、マッサージをしてもいいですか?
回答: 急性期(受傷後2〜3日)は患部へのマッサージは避けてください。断裂部位を刺激すると炎症が悪化する恐れがあります。回復期に入ってから、患部の周囲の筋肉をやさしくほぐす程度であれば問題ありません。ただし強い圧は禁物です。
Q2. サポーターやテーピングは効果がありますか?
回答: 適切なサポーターやテーピングは、患部を安定させて動きの負担を減らす効果があります。とくにスポーツ復帰の初期段階では、再発予防として有効です。ただし頼りすぎると筋力回復の妨げになるので、徐々に外していくことも大切です。
Q3. 仕事はどのくらい休む必要がありますか?
回答: デスクワーク中心の方なら軽度であれば翌日〜数日で復帰可能なことが多いです。立ち仕事や肉体労働の方は、痛みがなくなるまで1〜2週間程度(中等度以上はそれ以上)の安静が望ましいでしょう。職場の状況と相談しながら、痛みを基準に判断してください。
Q4. 病院での治療はどんなものがありますか?
回答: 整形外科では、超音波検査やMRI検査で損傷の程度を正確に把握したうえで、消炎鎮痛薬の処方や物理療法(電気治療・超音波治療など)を行います。中等度以上ではリハビリテーション指導も重要です。重度の完全断裂では手術が検討されることもあります。
監修:Dr.T
参考文献:
1. 日本整形外科学会「スポーツ損傷シリーズ:肉ばなれ」
2. Järvinen TAH, et al. “Muscle injuries: biology and treatment.” Am J Sports Med. 2005;33(5):745-764.
3. Heiderscheit BC, et al. “Hamstring strain injuries: recommendations for diagnosis, rehabilitation, and injury prevention.” J Orthop Sports Phys Ther. 2010;40(2):67-81.


