PFC-FD療法とは?PRP療法の”進化版”と呼ばれる再生医療をやさしく解説

整形外科

目次

  1. PFC-FD療法とは
  2. PRP療法とPFC-FD療法──何がどう違う?
  3. PFC-FD療法の仕組み──成長因子だけを取り出す技術
  4. 治療の流れ──採血から注射まで
  5. PFC-FD療法のメリットとデメリット
  6. 費用の目安
  7. どんな人に向いている?
  8. まとめ
  9. よくある質問

1. PFC-FD療法とは

「PRP療法は聞いたことがあるけど、PFC-FDって何?」──最近、整形外科の分野で耳にする機会が増えた「PFC-FD療法」。名前がちょっと難しそうに感じますが、考え方はとてもシンプルです。

PFC-FD療法の治療タイムライン:来院1回目→加工期間(約3週間)→来院2回目
PFC-FD療法の治療タイムライン:来院1回目→加工期間→来院2回目
PFC-FD療法の製造プロセス:採血→成長因子抽出→フリーズドライ→保存
PFC-FD療法の製造プロセス:採血→成長因子抽出→フリーズドライ→保存

PFC-FD療法は、自分の血液から血小板に含まれる「成長因子」だけを取り出し、濃縮・フリーズドライ加工して患部に注射する再生医療です。

PFC-FDは「Platelet-Derived Factor Concentrate Freeze Dry」の略で、直訳すると「血小板由来の成長因子を濃縮してフリーズドライにしたもの」。PRP療法をベースに、さらに一歩進めた技術として注目されています。

2. PRP療法とPFC-FD療法──何がどう違う?

PRP療法もPFC-FD療法も、自分の血液から血小板の力を借りるという基本的な考え方は同じです。しかし、製造プロセスと最終的に注射する成分に大きな違いがあります。

PRP療法は、血液を遠心分離して血小板を濃縮した「液体そのもの」を注射します。血小板の中に成長因子が入った状態のまま患部に届けるイメージです。

PFC-FD療法は、PRPからさらに一歩進んで、血小板の中にある成長因子だけを抽出します。細胞成分(血小板の”殻”など)を取り除いた「無細胞化」の状態にし、フリーズドライ加工で粉末状に仕上げます。使うときは生理食塩水で溶いてから注射します。

この違いによって生まれる特長を、もう少し詳しく見ていきましょう。

3. PFC-FD療法の仕組み──成長因子だけを取り出す技術

PFC-FD療法のポイントは、「いらない成分を除き、必要な成長因子だけを高濃度に凝縮する」という考え方です。

製造のプロセス

まず採血した血液を遠心分離してPRPを作ります(ここまではPRP療法と同じ)。次にPRPを活性化させ、血小板の中に格納されていた成長因子を放出させます。そこから細胞成分を除去して無細胞化し、成長因子だけが溶け込んだ液体を取り出します。最後にこの液体をフリーズドライ加工して、室温で長期保存が可能な粉末に仕上げます。

成長因子の濃度

このプロセスにより、PFC-FDに含まれる成長因子(特にTGF-βなど)の量は、通常のPRPの約2倍になるとされています。少ない注射量で、より多くの成長因子を患部に届けられるのが技術的なメリットです。

なぜ「フリーズドライ」にするのか

PRP療法では採血した当日に注射しなければなりません。血液は時間が経つと品質が変わるため、採血と治療を同日に行う必要があるのです。

一方、PFC-FDはフリーズドライ加工されているため、約6か月間の常温保存が可能です。つまり、採血と注射を別の日に行えるので、患者さんのスケジュールに合わせやすいという利点があります。

4. 治療の流れ──採血から注射まで

PFC-FD療法は、採血日と注射日が分かれるのが特徴です。

来院1回目:診察と採血 整形外科医が症状を確認し、PFC-FD療法の適応があるか判断します。適応ありと判断されたら、腕の静脈から約50mLの血液を採取します。採取した血液は専門の加工施設(セルソース社など)に送られ、PFC-FDの製造が始まります。

加工期間:約3週間 施設で血液の検査(感染症チェックを含む)と、PFC-FDの製造が行われます。完成したPFC-FDはフリーズドライ状態でクリニックに届きます。

来院2回目:注射 届いたPFC-FDを生理食塩水で溶解し、超音波ガイド下で患部に注射します。注射自体は数分で終わります。

合計2回の来院で治療が完了するケースがほとんどです。

5. PFC-FD療法のメリットとデメリット

メリット

成長因子が高濃度──PRP療法の約2倍の成長因子を含むため、より効率的に修復シグナルを患部に届けられます。

注射時の痛みが少ない──細胞成分を除去した「無細胞」の製剤なので、PRP注射と比べて注射後の炎症反応が起きにくく、痛みや腫れが穏やかです。

スケジュールの自由度が高い──フリーズドライで6か月保存できるため、採血日と注射日を分けられます。仕事が忙しい方やスケジュール調整が難しい方にとって大きな利点です。

安全性が高い──自分の血液由来なのでアレルギーや拒絶反応のリスクが非常に低いうえ、製造過程で感染症の検査も行われます。

デメリット

効果に個人差がある──PRP療法と同様に、すべての方に同じ効果が出るわけではありません。重度の軟骨損傷には限界があります。

自由診療で費用が高め──PRP療法よりもやや高額になる傾向があります(詳しくは次のセクションで解説します)。

製造に時間がかかる──採血から注射まで約3週間の加工期間が必要です。「今すぐ治療したい」という希望には応えにくい場合があります。

注射は基本的に1回──PRP療法のように複数回打つプロトコルではなく、1回の注射で治療が完結するのが一般的です。これはメリットでもありますが、効果が不十分だった場合に追加投与の判断が必要になります。

6. 費用の目安

PFC-FD療法も自由診療(保険適用外)です。費用の目安は以下のとおりです。

1回あたりの費用は、15万円〜30万円程度が相場です。PRP療法に比べると、加工の工程が多いぶん、やや高額になります。

費用に含まれるものは施設によって異なりますが、一般的には診察料、採血、PFC-FDの製造費、注射の施術料がセットになっています。

PRP療法と同じく、現時点では保険適用の予定はありません。治療を検討する際は、総費用と追加注射の可能性について事前に確認しておきましょう。

7. どんな人に向いている?

PFC-FD療法が向いているのは、注射後の痛みが心配な方(無細胞化で反応が穏やか)、仕事やスポーツで休みが取りにくい方、採血と注射を別日にしたい方、初期〜中等度の変形性関節症の方です。

一方、重度の変形(KL分類IV)で軟骨がほぼ失われている方には十分な効果が難しい場合があり、人工関節手術など他の選択肢と組み合わせて検討しましょう。

8. まとめ

PFC-FD療法は、PRP療法をベースにしながら「成長因子だけを高濃度に抽出し、フリーズドライ化する」ことで進化させた再生医療です。注射後の痛みが少ない、スケジュールの自由度が高い、成長因子の量が多いといった特長があります。

ただし、自由診療のためPRP療法よりやや高額になること、製造に約3週間かかることは事前に知っておきましょう。「自分に合う治療法はどれか」を判断するために、次回の記事ではPRP療法とPFC-FD療法を詳しく比較してみます。


よくある質問

Q1. PFC-FD療法は何回くらい受ける必要がありますか?

回答: 基本的には1回の注射で治療が完結します。PRP療法のように複数回繰り返す必要がないのが特徴です。ただし、効果が十分でない場合には、担当医と相談のうえ追加投与を検討することがあります。

Q2. PFC-FD療法を受けた後、仕事はすぐにできますか?

回答: デスクワークであれば翌日から可能なケースがほとんどです。力仕事や立ち仕事の場合は、2〜3日の休養が推奨されることがあります。スポーツ復帰のタイミングは担当医と相談してください。

Q3. PRP療法とPFC-FD療法、どちらが効果が高いですか?

回答: PFC-FD療法のほうが成長因子の濃度は高いとされていますが、「どちらが優れている」と一概には言えません。症状の種類や重症度、ライフスタイルによって適した治療法は変わります。次回の比較記事で詳しく解説しますので、そちらも参考にしてください。

Q4. 副作用はありますか?

回答: 自分の血液由来の製剤なので、重大な副作用はほとんど報告されていません。注射部位に軽い痛み、腫れ、発赤が出ることがありますが、数日以内に治まるのが一般的です。PRP療法よりも細胞成分が少ないぶん、注射後の反応はマイルドになる傾向があります。

Q5. どこの医療機関でも受けられますか?

回答: PFC-FD療法は特定の加工施設との提携が必要なため、すべての整形外科で受けられるわけではありません。治療を検討する場合は、PFC-FD療法を取り扱っている医療機関を事前に確認しておきましょう。


監修:Dr.T
参考文献:
1. Ohtsuru T, et al. “Freeze-dried noncoagulating platelet-derived factor concentrate is a safe and effective treatment for early knee osteoarthritis.” Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc. 2023.
2. Kinoshita M, et al. “Can intra-articular injection of freeze-dried platelet-derived factor concentrate regenerate articular cartilage in the knee joint?” Regen Ther. 2019.
3. Bensa A, et al. “PRP Injections for the Treatment of Knee Osteoarthritis: A Meta-analysis of Randomized Controlled Trials.” Am J Sports Med. 2025.
4. 厚生労働省「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」

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