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目次
- 腎臓とタンパク質の関係とは
- CKD(慢性腎臓病)のステージを知ろう
- ステージ別・タンパク質摂取量の目安
- 具体的な食事のイメージ
- タンパク質を減らすときに気をつけたいこと
- こんなときは必ず医療機関へ
- まとめ
- よくある質問
1. 腎臓とタンパク質の関係とは
私たちが食事からとったタンパク質は、体の中で分解されるときに「老廃物(ろうはいぶつ)」を生み出します。この老廃物をろ過して体の外に出してくれるのが、腎臓の大切な役割です。
腎臓が元気なうちは問題ありませんが、腎機能が低下してくると、老廃物を処理しきれなくなります。すると体内に不要な物質がたまり、だるさやむくみ、さらなる腎機能の悪化を引き起こすことがあります。
つまり「腎臓の働き具合に合わせて、タンパク質の量を調整する」ことが、腎臓をこれ以上傷めないためのカギになるのです。
2. CKD(慢性腎臓病)のステージを知ろう
腎機能の状態は、eGFR(推算糸球体ろ過量)という数値で判断します。健康診断の血液検査でクレアチニン値から自動計算されるもので、数値が大きいほど腎臓がしっかり働いていることを示します。
| ステージ | eGFR(mL/分/1.73m²) | 腎機能の状態 |
|---|---|---|
| G1 | 90以上 | 正常または高値 |
| G2 | 60〜89 | 正常〜軽度低下 |
| G3a | 45〜59 | 軽度〜中等度低下 |
| G3b | 30〜44 | 中等度〜高度低下 |
| G4 | 15〜29 | 高度低下 |
| G5 | 15未満 | 末期腎不全(透析が必要になることも) |
健診で「eGFRが60を切った」と指摘されたら、CKDステージG3aに該当します。自覚症状がほとんどないため見逃しがちですが、ここから食事を意識し始めることが大切です。
3. ステージ別・タンパク質摂取量の目安
日本腎臓学会「CKD診療ガイド2024」や国際ガイドライン(KDIGO 2024)をもとに、ステージ別の推奨量をまとめました。
| ステージ | タンパク質の目安(体重1kgあたり/日) | 体重60kgの人の1日量 |
|---|---|---|
| G1〜G2 | 過剰摂取を避ける(1.3 g/kgを超えない) | 約78g以下 |
| G3a | 0.8〜1.0 g/kg | 約48〜60g |
| G3b | 0.6〜0.8 g/kg | 約36〜48g |
| G4〜G5 | 0.6〜0.8 g/kg(医療チーム管理下で) | 約36〜48g |
ポイントを整理すると:
G1〜G2(腎機能がほぼ正常)の方は、厳しい制限は不要です。ただし、プロテインサプリの大量摂取やステーキを毎食食べるような極端な高タンパク食(1日あたり体重1kgにつき1.3gを超える量)は避けましょう。日本人の平均的な食事(1日60〜70g程度)をしていれば、基本的に問題ありません。
G3a(eGFR 45〜59)の方は、少し意識してタンパク質を控えめにする段階です。1日あたり体重1kgにつき0.8〜1.0gが目安。体重60kgなら1日48〜60gに抑えます。極端に減らす必要はありませんが、「毎食に肉や魚をたっぷり」という食べ方は見直してみましょう。
G3b以降(eGFR 44以下)の方は、専門医と管理栄養士の指導のもとで本格的なタンパク質制限が必要になります。1日あたり体重1kgにつき0.6〜0.8g、体重60kgなら1日36〜48gが目安です。自己判断で極端に減らすとかえって栄養不足になるため、必ず医療チームと相談してください。
4. 具体的な食事のイメージ
ステージG3a・体重60kgの方(1日あたりタンパク質50g程度)の場合、1日の食事を大まかにイメージしてみましょう。
朝食: ごはん1杯+味噌汁(豆腐少量)+焼き海苔+漬物
(タンパク質 約10g)
昼食: うどん+野菜の天ぷら+サラダ
(タンパク質 約12g)
夕食: ごはん1杯+焼き魚(鮭1切れの半分程度)+野菜の煮物+酢の物
(タンパク質 約18g)
間食: 果物やせんべいなど
(タンパク質 約3g)
合計で約43gとなり、目安の範囲内です。メインのおかず(肉・魚)の量をやや控えめにし、その分ごはんや野菜でエネルギーを確保するのがコツです。
5. タンパク質を減らすときに気をつけたいこと
タンパク質制限で最も大切なのは、エネルギー(カロリー)をしっかり確保することです。ガイドラインでは1日あたり体重1kgにつき25〜35kcalが推奨されています。
タンパク質を減らした分だけ全体の食事量が減ってしまうと、体はエネルギーを作り出すために自分の筋肉を分解してしまいます。これではかえって老廃物が増え、腎臓への負担も大きくなってしまうのです。
タンパク質を減らしたぶんは、ごはん・パン・油・砂糖など、タンパク質の少ない食品でエネルギーを補いましょう。最近は「低タンパク質ごはん」「でんぷん米」などの治療用食品もあり、うまく取り入れると食事の満足度を保ちやすくなります。
また、高齢の方やフレイル(虚弱)・サルコペニア(筋肉減少)がある方は、タンパク質を制限しすぎると筋力や体力がさらに落ちてしまうリスクがあります。このような場合には制限を緩和することがあるため、主治医と相談のうえで個別に調整することが大切です。
6. こんなときは必ず医療機関へ
以下に当てはまる場合は、自己流の食事制限ではなく、腎臓専門医と管理栄養士による指導を受けましょう。
- 健診でeGFRが60未満と指摘された
- 尿検査でタンパク尿が出ている
- むくみや疲れやすさが続いている
- 糖尿病や高血圧を合併している
- 体重が急に減った、食欲がない
腎臓の病気は自覚症状が出にくいからこそ、数値の変化を見逃さないことが最大の予防策です。
7. まとめ
腎機能が低下しているときにタンパク質を摂りすぎると、腎臓への負担が増してしまいます。一方で、必要以上に減らすと栄養不足や筋力低下を招きます。
大切なのは「自分の腎機能ステージに合った量を知り、エネルギーとのバランスをとること」です。まずは健診のeGFR値を確認し、気になる数値があれば早めに専門医に相談しましょう。日々の食事を少し見直すだけで、腎臓をいたわる大きな一歩になります。
よくある質問
Q1. プロテインやサプリメントは飲んでも大丈夫ですか?
回答: 腎機能が正常(G1〜G2)であれば、適量のプロテインは問題ありません。ただし、1日の総タンパク質量が体重1kgあたり1.3gを超えないよう注意が必要です。G3a以降の方はプロテインサプリの使用を控え、必ず主治医に相談してください。
Q2. 植物性タンパク質なら腎臓に優しいのですか?
回答: 近年の研究やKDIGO 2024ガイドラインでは、植物性タンパク質を中心とした食事が腎臓に有利な可能性が示されています。大豆製品や豆類は腎臓への負担が動物性タンパク質より小さいという報告がありますが、カリウムを多く含む食品もあるため、ステージが進んでいる方はバランスに注意が必要です。
Q3. 糖尿病がある場合、タンパク質制限は変わりますか?
回答: 糖尿病を合併しているCKD患者さんの場合、国際ガイドライン(KDOQI 2020)では0.6〜0.8 g/kg/日がステージG3〜G5で推奨されており、非糖尿病の方よりやや幅がある設定です。血糖コントロールと腎保護の両立が必要なので、主治医と管理栄養士の両方に相談して個別に決めましょう。
Q4. タンパク質制限はいつから始めればいいですか?
回答: eGFRが60を切った(G3a以降)段階で、少しずつ意識し始めることが勧められています。G1〜G2では厳密な制限は不要ですが、過剰摂取を避ける習慣を身につけておくと、将来の腎保護につながります。
監修:Dr.T
参考文献:
1. 日本腎臓学会「CKD診療ガイド2024」第8章 栄養
2. KDIGO 2024 Clinical Practice Guideline for the Evaluation and Management of CKD
3. KDOQI Clinical Practice Guideline for Nutrition in CKD: 2020 Update



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